この言葉はフランス語で、日本語では『生の芸術』といわれています。
英語で『アウトサイダー・アート』といわれたりもしています。
ウィキペディアでは「子どもや、正式な美術教育を受けずに発表する当てもないまま独自に作品を制作しつづけている者などの芸術」「狭義には知的障害者の作品をさしていうことがままある」「しかし必ずしもそうではなく、芸術作品で生計を立てたり、既存の団体に発表することなく、独学で孤独に作品を作り続けた人達、刑務所などで初めて絵画に取り組んだ人達などの作品も含むのが本来の意味である」というふうに説明されています。
私は以前からこのアールブリュットになぜかとても惹かれています。
昨日から始まった『ピンクルージュの軌跡』展は、行くとちょうどライブペインティングの最中でした。
作家の上野康幸さんが共演の尺八の演奏にとくに合わせるふうでもなく、淡々と絵の具を塗っていました。
上野さんという作家はとても興味深い方だと思います。
私とひとつ違いの、痩せ形で長身の上野さんは、作品に合わせるかのようにピンク色のトレーナーを着て、細くて長い指で丁寧に絵の具を扱い、でもどんどん塗り進めていました。
そして、作品が完成するとアトリエのスタッフの方々と緩いハイタッチをするのです。
カメラを向けられると、作品と並んで指でVサインを作って、若干はにかんだような感じもするけれど作家らしい顔で写されていました。
上野さんが描くのはファッション雑誌から取り出したお気に入りのモチーフで、男性は一切登場しません。
そこになんらかの上野さんのこだわりがあるのでしょうが、作品自体の魅力がとても大きい作家さんです。
「あしたの箱」という小さいギャラリーは、上野さんが所属する福祉施設「アトリエコーナス」の仲間たちやスタッフの方たちでいっぱいで、激しい尺八の演奏が終わるとすごく盛り上がりました。
その反応がもうなんかピュアというか、自分が受け取ったものを素直に表現していて、なんだか泣きそうになりました。
普段私たちは周りを気にして(気にしていないつもりでも)思いきり感情のままに動くことはほとんどないと思いますが、久しぶりにそういう体験をしました。
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