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2012/12/07

『少年と自転車』


2011年/ベルギー・フランス・イタリア
監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ

児童養護施設に預けられた少年の話です。

この役を演じるトマ・ドレという少年がすごくいい。
この映画のためのオーディションで抜擢された新人だそうですが、少年時代の脆さや愛情やわけのわからなさを本当にうまく表現していると思います。
それと何度も盗まれたり盗まれかける愛車を追いかけて疾走する姿がまたいいですね。

自分を児童養護施設に預けた父親を、すげない態度で追い返されてもまた求めて傷つく少年を、週末里親になった美容師の女性が大きく包み込みます。
女性は自分の恋人との仲に亀裂が生じても少年を優先し、その気持ちは正直私には理解できませんでした。
でも、それほどこの美容師にとって少年が大切な存在になったということなのです。
そこに大きな事件が起きるのですが・・・。

ベルギーでは親と暮らせない子どもの半分は里親家庭で育ち、残りの半分は施設で暮らすのですが必ず1人1人に週末里親がつくという決まりがあるそうです。
日本では9割が施設で育ち、週末里親の普及もまだまだでしょう。

どの子どももそれぞれに信頼関係のもてる大人が必要です。
この映画の少年は、父親とはもてなかった関係を埋めてくれる存在に出会えたことで、これから変わっていくはずです。

映画のエンディングは「まさにヨーロッパ映画だなぁ」と頷く、突然の幕切れで置いてけぼりをくらいました。

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