ヴィニリュスのゲストハウスのスタッフの一言で、ガイドブックにも載ってなかったフェリーで、リトアニア第3の都市クライペダからスウェーデンのカールスハムンという聞いたこともない街へ向かうことにしました。
今回の旅の最終目的地である友人の住むヘルシンボリはスウェーデンの南部にあるためストックホルム行きのフェリーは選択肢になく、こんなマイナー航路となりました。
イスタンブールに引き続き、ガイドブックなしで手探りの旅。
不安ながら友人にメールで聞くと、カールスハムンからヘルシンボリへは電車で3時間のようでなんとかなるかと思って行きました。
ヴィニリュスからクライペダは長距離バスで4時間ほど。
途中の休憩で今回の旅で初めてお金を払ってトイレに入りました。
実はこれまでも公共の場でのトイレは有料だったのですが、飲食店ではもちろん無料で使えるしショッピングセンターとかでは中から出てきた人が扉を開けて入れてくれたりで払う場面がなかったのです。
日本では当然無料できれいなトイレが使えるので、なんかお金払ってトイレって〜、と思ってたのですが、まあ30円ほどできれいなトイレだったのでしょうがないか。
クライペダのバスターミナルに着くとそこからは市バスでフェリー乗り場へ。
それが1時間に1本しかなく、乗っても私以外にドイツ人の女の子2人だけで、どんどん人気のないところへ行くのでその2人がいなかったら不安でしょうがないところでした。
でも、フェリーに乗るとこれがすごくいい感じ!
シーズンオフなので4人相部屋のところ2人だけで、トイレとシャワーも各部屋についてるし1人1人鍵を渡してくれる。
同室の女性は言葉が通じなかったけどニコニコした感じの人で、私のミネラルウォーターを勝手に飲んだりして奔放でした。
出航まで時間があったけど、本当に周囲に何にもないところで早々とフェリー内のセルフサービスのレストランで夕飯にしました。
このレストランがこの旅最初で最後のまずさ!
物価の高いスウェーデンと安いリトアニアの間くらいの値段がついてたので、これまでの食事に比べるとずっと高いのに、味はずっと劣る!
コーヒーでさえ飲めたものではありませんでした。
その後は、ラウンジでテレビを観てるのはおっちゃんばかりだし、デッキに出ても極寒の上暗くて何も見えないし、ベッドに横になって本を読みました。
今回の旅行でたまたま持って出た1冊が谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」。
我ながらグッチョイスでした。
谷崎が昭和の初めに日本と欧米を比較して書いた本ですが、今読んでもすごくよくわかります。
ですが、当時の日本にあった陰影は現在あるでしょうか。
ほとんどの住宅の居室では1室に1灯の天井照明が部屋の隅々まで照らして、薄暗い部分ができそうものならクレームになりかねないのでは。
この後訪ねたスウェーデンの友人宅では、間接照明やスタンドランプ、そしてキャンドルなどを多用してリラックスできる空間をつくり出していました。
今や欧米の方が陰影を礼賛していると言えます。
夜中、船がだいぶん揺れて目が覚めたりしましたが、ベッドリネンやタオルの質はなかなかだしシャワーも熱いお湯が出て本当に快適でした。
そして朝、冷たい風が吹き付ける中、夜明けの海を見てちょっと感動。
しかも定刻に到着して、さっすがーと思いました。
問題はそこから。
船を降りてもそこには何もありませんでした。
駅までは8kmあるのでバスか最悪タクシーはいるだろうと思ってたのですが、本当に何もない。
フェリーの乗客のほとんどは荷物を運ぶトラックの運ちゃんでトラックで次々と上陸していき、わずかな徒歩の乗客も家族や友人が迎えに来るようになってるようでした。
フェリー会社のオフィスは次の便まで閉まってるようだし途方に暮れそうになって、隣に立ってたお兄さんに「駅まで行く方法ない?」と一応聞いてみると、「友達が迎えに来てくれるから、駅まで乗せてってあげるよ」ということで助かりました!
その友達には「スウェーデン語しゃべれないの?」とちょっと小馬鹿にされましたが(しゃべれないくせにこんな行き当たりばったりなのかよ、というニュアンス)、スウェーデンの人はみんなきれいな英語を話すので心配いらないのです♪
ちなみにフェリーは4人相部屋で8,600円(食事別)ほどで、すごくお得でした。
貸切部屋だともっと高く、部屋なしの座席のみだともっと安いです。
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