2004年/イギリス・フランス・ニュージーランド
監督/脚本 : マイク・リー
これもまた重い映画です。
1950年代のイギリスの労働者階級の家庭の主婦を主人公に、穏やかに静かに話が進みます。
この主人公ヴェラが本当に善人なんです。
その生活を丁寧に描いて、観ている私たちもヴェラのことが好きになっていくのに、事件が起きてその慎ましく幸せな生活が途絶えてしまいます。
それはヴェラが善意から行っていた望まぬ妊娠で「困っている娘さんたち」の堕胎の手助けが、当時違法だったためです。
長年行ってきた堕胎の処置が明るみに出てヴェラは罪に問われるわけですが、そもそも妊娠させた男たちは何も咎められず、その矛盾を思ってか、逮捕に来た警察官たちもとても紳士的で切なくなりました。
結局、法の裁きでヴェラは有罪となりますが、家族たちのそれぞれの反応も深い余韻を残しました。
重いけれど、ただ辛いだけの物語ではありません。
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