2007年/イギリス・イタリア・ドイツ・スペイン
監督 : ケン・ローチ
タイトルとはうらはらに重く、救いのない物語です。
『自由』とは何か、弱い立場の者がさらに弱い者から搾取することもまた『自由』なのだと、この主人公のシングルマザーは自身に言い聞かせながら人間として堕ちていくのです。
彼女は本来冷酷無比な人物ではなく、自分と息子の生活をなんとかするため、そのための行動力を持ち合わせていたがため、どんどん深みにはまっていくのです。
イギリス社会の労働者階級や不法移民の問題をベースに、彼女の行動が圧倒的なリアリティをもって描かれていて、背筋が寒くなりました。
日本では多少状況は違いますが、昨今の経済状況で就職難、派遣切り、生活保護費の増加など暗い話題にはこと欠きません。
そこでは同じように弱者を食い物にした経済活動も後を絶ちません。
違法なやり方は論外ですが、うわべでは人を助けるような顔をしてうまい汁を吸っている、なんてこと『自由な世界』だから許される話ではないのに。
映画のラストでは、彼女はまだその仕事を続けています。
そして、この先ずっと彼女が自由でいられるかどうかわからないまま、映画は終わりました。
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