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2011/08/19

出雲大社「平成の大遷宮」

お盆休みの帰省を利用して、出雲大社の「平成の大遷宮」見学に行ってきました。
60年に一度の大修造ということで、数年前から準備が始まっている大規模なものです。

今回は本殿の大屋根の檜皮葺き替えのようすを間近に見ることのできる特別拝観で、事前の申し込みや服装の規制など、一般の建築見学とちょっと様子が違います。
私もめったに着ることのないワンピースを用意して行きました。

暑い盛りなので、受付・待合所にはスポットクーラーや冷水器が用意され、初めて見る熱中症対策用のせんべいまでいただきました。
パンフレットや特別拝観証、出雲大社のステッカー(どこに貼る?)ももらって、無料で見せてもらえる上、出雲大社の大国主命は太っ腹やなぁと感心。

大修造を仕切っているのは大手ゼネコンで、本殿を覆う素屋根(工事用の巨大な仮設の囲い)自体がとても立派なものです。


奥に見える三角屋根の白い建物が本殿の素屋根です。

見学したのはちょうど日曜日だったので、現場はもちろんお休みで作業の様子は見られなかったのですが、掃除や片付けが行き届いてさすがという感じです。
(そんなところに目がいくのは、元現場監督の性ですね)

残念ながら素屋根内部は撮影禁止だったので写真がありませんが、大屋根部分の檜皮は既に葺き終えられていて、その見事さに本当に恐れ入りました。
出雲大社では通常よりも長い檜皮が使われていて、前回これを葺いたのは60年前、ということは今回これを葺く職人さんは初めて手がける仕事になるわけで、師匠もなく教えてくれるのは古い檜皮自身ということになるのです。
それにしても、軒先で最大90cmの厚みになるという檜皮が層になって微妙なカーブを描いて、とてもきれいです。
屋根下地の模型も展示されていましたが、一般的な屋根下地に加えて3重の野地板が重ねてあったり、防水上念入りな施工がされているのがわかりました。

見学を終えて外に出るとお土産がもらえます。


解体された以前の檜皮の一部ですが、ちょっと嬉しいですネ。

2011/08/10

世界報道写真展2011

最近なんか展覧会づいてるなぁ・・・。
いつもはこんなことないんです。たまたま気になるのが続いてるのでいそがしいです。

今回は大阪・梅田のハービスOSAKAで開かれている世界報道写真展2011です。
この後、京都、滋賀と巡回していくのでお近くの方はいかがでしょうか。

私は毎年開かれるこの写真展にほとんど毎年行っています。
前の年に起こった世界のいろいろなできごとをあらためて振り返ることができ、写真家の技術もさることながら、肉薄したその視点にいつも驚かされるのです。
それにしても、ほんの1年前のことがずいぶん前のことのように感じられたり、もうすっかり忘れてしまっていたりするくらい、日々いろんなことが起こっていますね。
私の小さなメモリー容量は言い訳になりませんが、それぞれにもっと目を向けていれば状況はちょっと変わるかもしれません。

今回は3月に起きた東日本大震災の写真もスライドショーや展示で観ることができました。
これはまだ半年も経っていない出来事であり、いまだ現在形のことなのに、すでにちょっと遠くに感じていた自分自身がとても情けなく思いました。
まだまだこれからですもんね!

2011/08/09

堂島ビエンナーレ2011

この堂島ビエンナーレ2011のチラシを初めて手にしたとき、なんかオサレっぽいしそうそうたる(特にベテランの)メンバーが参加してるけど、何をしようとしてるのか伝わってこずそのままになってしまいそうでした。
それが、新聞記事で紹介されていたこのビエンナーレの作品のひとつである安部典子さんの作品を見て、俄然観に行く気になっちゃいました。3.11からの新聞を積み重ね、1枚1枚が地層であるかのようにして大地が削り取られた痕の断層を表現したような作品です。
私も震災後しばらくの間の新聞を残していますが、このような作品ができるとは思いもつきませんでした。

仕事帰りに行ったので1時間ほどしか観る時間がなかったのが本当に残念!
期待以上の展覧会でした。

とはいえ、チラシを見て感じた印象そのままに、会場の展示方法もカッコつけててわかりにくい~。

この展覧会の企画はもちろんその前からのものだっただろうけど、3.11を経てそれぞれの作品は大きく変わったのではないでしょうか。
東日本大震災を真正面から捉えた作品もいくつかありました。

その中で私が個人的に気に入ったのは、インドのアニッシュ・カプーアという人の作品、建築模型のパーツを用いながらあり得ない空間を表現してどこかへ連れ去られそうな感じがします。
それから、チームラボ+柳原照弘のアニメーションのジオラマ、100年間の海面上昇のようすを日本画タッチのアニメで描いて、絵柄はまんが日本昔話のような懐かしい感じなのに切ないような気がして目が離せなくなりました。

2011/08/03

広島平和記念公園

言わずと知れた広島平和記念公園です。

ホテルから徒歩10分ということなので歩いて行きました。

この平和大橋の欄干のデザインは彫刻家のイサム・ノグチによります。

川の向こうに平和記念資料館の建物が見えます。

原爆ドームも向こうに見えます。

平和記念資料館です。

日曜日の朝の8時過ぎですが、観光客らしき人や散歩する人、1週間後の原爆記念日の式典準備でテント設営する人など、けっこういらっしゃいました。



広島平和記念資料館および平和記念公園は丹下健三計画研究室の設計で、こちらに詳しく紹介されています。
DOCOMOMO Japanにも選ばれている傑作で、建築的にもそこに込められた思いについても、永く後世に残すべきものだと思います。

平和記念資料館と慰霊碑、原爆ドームが一直線に並び、資料館下のピロティに立つと何か思わざるを得ません。
ここは実際に訪れてみるのがいちばんだと思います。

型枠跡がきれいな打ち放しコンクリートです。思った以上に白っぽく違和感を感じましたが、メンテナンスの賜物なのでしょうか。
階段の造詣がほんと、かっこいいです。
柱の形状もなんとも言えません。

この後、資料館の中に入りました。
私は小学6年の時に修学旅行で広島を訪れたときに見学して以来でしたが、展示はわかりやすく何としてもこの惨劇の事実を伝えようとする思いを感じました。
それに朝8:30開館で大人の入場料が50円とは、どれだけウェルカムなんだとちょっと感動しちゃいました。
本当に、多くの人に来て観てもらって、同じ過ちを繰り返さないよう心に刻んでほしいという気持ちを強く感じます。

広島平和記念資料館

2011/08/02

マツダスタジアム

広島へ行ったついでに、広島VS中日戦を観戦してきました。

球場近くのローソンはこのとおりカープ仕様でテンションが上がってきます。

私は日頃は自称阪神タイガースファンですが、もともと島根県出身なので子供のころは広島カープを応援していて、特に今回はカープファンの父と一緒だったのでもちろんカープの応援です。

JR広島駅から球場に向かうと道はそのまま巨大なスロープにつながり3塁側の入場口にたどり着きます。
球場はこのようにいびつな形をしています。
仙田満さんの環境デザイン研究所が設計していますが、随所に工夫がされ客席のバリエーションも多彩で楽しく、かといってデザインに凝り過ぎることなく、さらにコストパフォーマンスにも優れた建築であることがこちらに詳しく紹介されています。

JRで岡山方面から来ると、広島駅到着直前に車内から球場が見えるのもいいですね。
バーベキュー席。
なんとバーベキューしながら野球観戦。夏休みの思い出に大貢献できちゃいます。
ごろ寝席。
ファミリーにもカップルにも。家でテレビの前にいる感覚?
これはファミリー席でしょうか。
パーティー席なるものには、ちゃんとホールスタッフもついて飲食フリーのようです。
車いす用の席もたくさん用意されていました。
砂かぶり席。
父はここで観たことがありますが、すごい臨場感と引きかえに野球の全体像はわからないそうです。ま、当然か・・・。
7回カープの攻撃前にみんなが風船をスタンバイ。スタンドが真っ赤です。
タイガースの場合には風船の色がいろいろあってカラフルですが、カープはとにかく赤!きれいでした。

この試合は3対0で広島の勝利。主力選手の故障などで思わしくない成績の今シーズンですが、この晩は気持ちよく眠れました。


蛇足ですが、マツダスタジアムのフード関係はすごく充実してると思いました。
私たちは夕食を済ませてから行ったので今回お世話になることはありませんでしたが、球場を1周できるコンコース(通路)にはいろんなお店があって目移りします。
実際試合中にもかかわらずコンコースを大勢の人がうろうろしていて、「何しに来たん!?」と突っ込みたくなりました。
ただ、生ビールが700円とはちょっと高いのでは。気軽に2杯、3杯と飲めないなぁ。
少し多めの利益が貧乏球団である広島カープの懐に入るというのであれば、まあしょうがないかと納得しますがどうなんでしょう。

2011/08/01

オノ・ヨーコ展 『希望の路』

広島に行く用事があったので、ちょうど始まった広島市現代美術館(設計:黒川紀章)の特別展、第8回ヒロシマ賞受賞記念 オノ・ヨーコ展『希望の路』を観に行きました。

初日の午前中にもかかわらず、そしてちょっと辺鄙な場所にもかかわらず、結構お客さんがいました。
美術館の入り口前の広場にさっそく作品のひとつ『wish tree』があります。
私たちそれぞれが願い事を書いて木に吊るします。七夕の笹や初詣のおみくじみたい。
もちろん私も願かけしました。

作品のほとんどはインスタレーションで、ヒロシマというこの地(そしてナガサキ)への、そして先の東日本大震災を経験した人々への鎮魂を表したものでした。
足元に散らばった真っ白な鶴の折り紙はなんと総数6万羽、踏みそうになって気をつけて歩いていたらスタッフの方が「踏んでしまっても構わない」と。
それは、様々な暴力や戦争、災害などの悲劇の犠牲者たちの上に今の私たちがあるということを示している、ということでした。
そうなんだ、とそのことにあらためて気づかされて情けないけど、その人たちのおかげでと感謝するのは違う気がするし、ただ鎮魂を祈り、過ちは繰り返さないと誓うしかできないでしょうね。

最後に『My mommy is beautiful』という作品があって、それぞれがお母さんへの思いを書いて壁に貼っていきます。
私は自分の母親にはちゃんと向かって言ったことはないけど、一言書いて貼ってきました。

ヒロシマという場所のせいなのか、ずっと涙腺がゆるゆるしながら観てまわりました。

第8回ヒロシマ賞受賞記念 オノ・ヨーコ展『希望の路』