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2023/11/26

KANの訃報

 少し前にシンガーソングライターのKANさんが亡くなったと知りました。
最初それをネットニュースで見たわたしは、少し動揺しながらフェイクニュースかと期待したけれど、新聞記事で確認したので本当のことのようです。

ファンといえるようなものではなく、代表曲の『愛は勝つ』のほかはほとんど知らないんだけど、KANの声と存在は割と好きだったし、いるのが当然と思ってた人なのでとても残念です。

『愛は勝つ』が大ヒットしたときわたしは高校3年生で、同級生たちとカラオケに行くと必ず誰かが1回はこの歌を入れてみんなで歌い、その後それぞれの進路へ進んでいったので、なんとなく旅立ちのイメージと重なってる歌です。
聞こえてくるだけで勇気づけられるようなイントロと、まっすぐな歌詞、気持ちよく転調していく流れがいつまでも色褪せない名曲だと思います。


お葬式はKANさん自身のプロデュースだったそうで、参列者にPOPなポップコーンが配られたとのこと。
いいなぁと思ったけど、わたしはポップコーンは不要な人間なので何がいいかと考えて、お清めの塩代わりにわが家に常備している地元の藻塩を渡すのはどうだろう。
これうちの必需品ですよ。

2023/11/21

奥能登国際芸術祭・珠洲 2023 帰途+α

 帰りは暗い中雨が降り、特に金沢に着くまでは街灯も走る車も少なく、前の車についていくのに一生懸命でした。
金沢で夕食タイムとし、ラーメンを食べた後、車を車中泊仕様に変えました。
といっても、わたしは運転し続け、まだ時間が早かったから少し眠くても走り、雨のせいもあって視界が滲んで走りにくい・・・。
草津SAのコンビニでコーヒーを買って飲んでから覚醒!
視界がくっきり、頭もはっきりしました。
雨は止み車も適度に増え、街灯もあって走りやすくなったのもあるけれど、普段はカフェインが全然効かないわたしには初めての感覚で、1人でちょっと感動。
能登ではコーヒー飲んでなかったせいかな。

そうやってちょこちょこ休憩はしたものの、仮眠は一度だけで自宅に無事帰り着きました!
正味6時間弱の道のりを、行きは12時間かけて、帰りはなんと8時間半で走行。
午前1時半過ぎに到着して、とりあえず小6の人に最低限の荷物を持ってもらい、わたしは眠ってる6歳の人を抱っこして帰宅。
こどもたちはそのまま寝て、わたしはシャワーを浴びてすぐ眠ろうとしたものの、疲れてるのに頭が冴えてしまっててなかなか寝つけませんでした。

翌日は月曜日、小学生は普通に登校、保育園児はたまたま遠足というハードスケジュールで、いつもは要らないお弁当作りがありましたが、なんとかミッション達成!
わたしはわたしでマンションリノベーションの現場の見学に出かけるというタフな1日を過ごしました。

*出発時にリセットした走行距離計が到着時に1,000km!


振り返って、奥能登国際芸術祭はよくデザインされてるとほんと感心しました。
ガイドブックが売り切れで事前購入できなかったことは前述しましたが、代わりにホームページがよく考えられていて不自由なく、それぞれの作品と作家さんの紹介、珠洲へのアクセスからモデルコース、ボランティアの宿泊先までしっかり考えられていました。
車がないと回りにくい土地柄、アートバスやパックツアーも用意されていました。
わたしが重宝したのがデジタルマップで、これがめっちゃ使いやすかったんだけど、A3サイズ1枚のPDFのマップを家からプリントしていったのがよくできてた!
1枚で知りたいことがすぐわかるように作るってすごい。
それから、要所要所に立ってる看板をたよりにナビなしでもある程度行けちゃうって、これも感心しました。
ディレクションされた方やスタッフの方々にはほんと頭が下がります。

越後妻有・大地の芸術祭でも思ったことですが、奥能登芸術祭でも作品展示会場となったのは使われなくなった学校や保育園、公民館などの公共施設や民家など、さらに駅舎まで、こんなにも多くの場所が不要になるほど人がいなくなってることを考えると暗澹とした気持ちになります。
でもそれがアートによって人を呼び寄せる力となっていることは素晴らしい。

奥能登国際芸術祭・珠洲 2023 2日目

 芸術祭最終日、観れるだけ観ていこう〜という思いを挫くかのような冷たい雨の1日となりました。
しっかり朝食をとった後は宿に別れを告げて出発!

初めは旧飯田駅の小さい忘れもの美術館。
小さな駅舎がいい佇まいです。





ホームに出ると、貨車が1両残されていて、中は一面黒板仕様でメッセージなどを書けるようになっていました。




次にこどもたちに好評だったのが、民家に展示された海の生き物の木彫作品。


 ↑  床の間の掛け軸は蛸の墨だとか



 ↑  この掛け軸はもちろんイカ墨?




こんな立派なお宅に住まい手がいないとは、もったいないですね。

次に向かった旧正院駅には、焼酎貯蔵用のタンクを使った巨大な植木鉢が埋められていました。



それから、木造家屋の屋根や壁に穴が開けられアクリル棒が差し込まれた「あかるい家」。
昼間は外の自然光を取り込み、曇天でも作品のタイトルどおり思った以上の明るさでした。
夜は屋内の明かりが闇の中で星屑のように浮かび上がるとのことで、見てみたかったです。


そしていよいよ今回の旅のメインであるさわひらきさんの作品へ。
なんと石川県のご出身だったんですねー、知らなかった。
というわけでこの芸術祭にも1回目から毎回参加されてたみたいです。
使われなくなった公民館を1棟まるごと使った作品で、あちこちに覗く仕掛けがあって、静かでちょっと不気味でかわいい非現実的作風を、こどもたちもそれなりに楽しんだようです。






そして圧巻だったスズ・シアター・ミュージアム。
旧小学校の体育館を再活用して、この地方の民具を展示・保存する博物館機能と現代アート作品を展示する美術館を融合し、圧倒的な物量を立体的に展示する内部が想像以上でした。







ここでランチタイム。
これは今日の予定どおり坂茂さん設計の「潮騒レストラン」で。
「ヒノキの木を圧縮し、鉄骨のような 形状をした世界発となる構造体を主軸にした」とあるように、木製なのに鉄骨造のようで不思議な感じを受けるけど、軽快な印象です。



わたしはお土産にここのミュージアムショップでさわひらきさんのリソグラフをゲット!やった!



ほかにもデザインが素敵なオフィシャルグッズがいろいろあって、右のクリアファイルは民藝のような北欧デザインのようなわたし好みで買ったもの。
左のクリアファイルはアンケートに答えてもらったもの。

ここへ来るまでの道中、海沿いにもたくさん屋外展示の作品があったのですが、海からの風が強く横なぐりの雨となって、車から降りるのを断念したのが残念です。
車から昔ながらの揚浜式製法の塩田も見かけました。

続いて行った、最近国際的にも活躍されている塩田千春さんの作品。
まさかの『塩田』繋がり!?


↑ どうしてこういうキャラになったのか(6歳の人)


↑  でもこの様子を見たほかのお客さんに「あなたが作品だわ」と言われました笑。

夕暮れと閉会の時間が迫る中、インドのアーティストグループによる旧上戸駅の作品。


写真では表現できてないけど、このポツンと光る駅舎の形をうつした作品は、街中ではないからこその良さがあると思います。

そして最後に立ち寄った旧鵜飼駅は香港の作家さんの作品。



17:00、これで今回の奥能登国際芸術祭の旅は終わり。
パスポートのスタンプを数えると48ヶ所中26ヶ所回ってました。
コンプリートするには少なくとも2泊はしないと難しいですねー。
でもでも、がんばって行った甲斐あって大満足でした。





 





2023/11/17

奥能登国際芸術祭・珠洲 2023 1日目

 芸術祭のホームページにはいくつかモデルコースの提案があって、その中の『親子で楽しむ体験型作品をめぐる』コースをベースに観たいところに行けるだけ行こうと出発。

まず「のらもじ発見プロジェクト」へ。
「のらもじ」って?と思ってたら、「野良文字」だったんですねぇ。
昭和の商店街の看板には個性的で魅力的なフォントがいっぱい。
それを採取するプロジェクトでした。
そのフォントを使ったスタンプをそれぞれの商店の店先に置いてあって、専用のポストカードを買ってスタンプラリーをすると思いがけない文章が完成するという楽しい企画。




その次に入った旧時計店では、作品もおもしろかったけれどザ・昭和な会場のインテリアがとても可愛くって目を奪われました。




付近にはわたし的にいい塩梅の佇まいのこんな建物も。


その後いろいろ観ながら、廃線となったJR能登線の旧蛸島駅へ。
ここには能登線の車両が1両だけ遺されていて、小6の人の鉄ちゃん魂に火がついてしまい、作品が展示されている旧駅を全部めぐることになります。






旧珠洲駅では寒い中作家さんが展示とパフォーマンス。


そして、空き家の民家を会場にした展示が圧巻。








これでもかと民具が並べられ、地元のお祭りの様子が映像で流れます。
こちらのお祭りはとても盛んなようですね。
あちこちでその集落の山車を収蔵する大きな倉庫が見られました。

能登は瓦の産地でもあるんですね。
その瓦を使った台湾のアーティストのグループの作品。




次の写真は、ちょっと難解だったけどフォトジェニックで美しかった養蚕飼育所を会場にしたインスタレーション。


次は旧小学校体育館でのインスタレーションで、クランプで締めただけの杉の角材を倒壊した御神木の丸太で釣って、この地方の稲妻を表したそう。




旧保育所に展示された作品は、作家が「子どもたちのための場所だった旧保育所を遊び心と偶然性で満たしたいと考えた」とおり、子どもたちが離れ難い楽しい作品でした。


最後に漁港に設置されたピアノの作品。
ピアノから引き伸ばされたワイヤーを離れたところから奏でる趣旨に構わず、普通に座って弾く小6の人笑。
風が強い日にはエオリアンハープとして風が響きを奏でて、参加者とセッションできるという試み。




この日のお宿は民宿山中荘
民宿だから「誰かのお家みたいなとこだよ」とこどもたちには話していましたが、着いてみるとけっこう立派で、ちょっとした旅館みたい。


部屋は6畳でこぢんまりしてたものの、食事をとった大広間は凝った造りになってました。





わたしはこの障子の桟が気に入りました。

正直お料理は普通に美味しい程度でしたが、特に女将さんが気さくでフレンドリーでとても親切で、料金もリーズナブルでお勧めです!

お風呂で冷えた身体を温めて、お腹いっぱいになると、ふかふかの布団で21:00過ぎには就寝。
次の日も芸術祭を1日中観て回った後、夜は運転して帰らなければなりません。