京都市美術館で開催されている『バルテュス展』へ行ってきました。
何やら人気があるそうな触れ込みで、夏休み最初の3連休だったので午前中に出かけると心配したほどの混雑ではなく、ゆっくり観ることができました。
この人のこの作品、と認識してなくてもバルテュスの絵はどこかで見たことがあるんじゃないでしょうか。
独特な写実で、惹かれてしまう絵です。
デビュー時の挑発的なポーズをとる少女の絵はスキャンダルを狙って描かれたようですが、バルテュス自身は「完璧な美の象徴」として少女を描き続けたということです。
下世話な話ですが、彼をロリコンとみる人もあり、またそれは否定されているようです。
現実には30歳ほど年の離れた義理の姪と一緒に暮らしたり、最後の奥さん(日本人)も彼が50代半ばのときに20歳で見いだしたのです。
バルテュスはこどもの頃から東洋の文化に興味を持っていたようですが、とくに日本に親和的だったのは日本人のネオテニー性にあるんじゃないかと、わたしは勝手に思うのです。
一般的に日本人には新築の家とか新卒採用とか、古き良きもの・成熟したものより新しいもの・手つかずなものをよしとするところがあると思います。
女性に関していえば若いうちが華であるように言われ、もっといえばあまりかしこくない方が可愛いなんていう人もいるかもしれません。
バルテュスが少女に対してそういう考えを持っているとは決して思いませんが、未成熟なものを愛でる感覚は近いんじゃないかと思います。
数年前の『ネオテニー・ジャパン展』はわたしが知ったときにはもう終わってしまっていて、でもどうしても気になって図録だけ手に入れたのですが、わたしがバルテュスに興味があるのと同じ流れだと思いました。
『ネオテニー・ジャパン展』のキーワード「幼形成熟」とは人間そのものという話もあるのです。
だから気になるんでしょう。
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