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2023/03/05

『一心同体だった』山内マリコ

 久しぶりに本を1冊一気読みしました。
たぶん新聞の書評で気になった本。
気になったものがあればとりあえず図書館で予約するんだけど、人気がある本だったりしたら何か月もしてやっと借りられるので、予約したときの気持ちはとうに忘れてることが多いのです。

これは、10歳から始まって40歳まで、それぞれの年代の女子の友情を、ちょうど平成の30年間と並行してロンド形式で繋げた短編集です。
わたしも生まれは昭和だけど20代と30代はそっくり平成時代に過ごしていて、その時代感とともに女子特有の諸々に共感するばかりで、登場人物の1人もしくは友人として読めました。

女子どうしのシスターフッドの尊さだけではなく、女子の狡さ、心許なさ、共依存、マウンティング、妬み、生きづらさなどなど。
ほんとあるあるを描き出すのがうまい。
そして、この物語を映像化するなら登場する女の子・女性たちは誰が演じたら、と想像するのも楽しい。
この作家さんの作品は過去にいくつも映画化されていて、この本以外はまだ読んだことないけれど、そうなるのも納得だと思いました。

いまどき男女2項対立の時代ではありませんが、女性の生きづらさがまだ存在するってことは、性的マイノリティの人たちの生きづらさはその比ではないということです。
母たちの世代が努力して変えてきてくれたことを、わたしたちの世代が娘たち(実際はすべてのこどもたち)のためにさらに良くなるよう変えていかなければ。


刺繍の絵の装丁も素敵な単行本


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