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2021/09/03

『アイノとアルヴァ 二人のアアルト』展


兵庫県立美術館でこの夏開催された展覧会です。
アルヴァ・アアルトといえば、北欧デザインの家具や建築のデザイン・設計者として有名ですが、妻のアイノも同じくデザインのパートナーとしてアルヴァと公私共に歩んだ人とはこれまで知りませんでした。
この展覧会では、内助の功的な扱いではなく彼女にもしっかり焦点を当てているところに、行く前からとても好感をもちました。
だって展覧会のタイトルからしてレディーファーストですよ。
以前、あるご夫婦を紹介する原稿を作って女性を先に挙げたところ「なぜこの順なのか」と問われたことがあって、男性が先だったらこんな質問はないだろうに、と哀しく思ったことがありました。
というわけで、展覧会冒頭のこの紹介にも胸がすくような気がしたのは大袈裟かな。


わたしが気に入ったのが、アルヴァが独立して事務所を構えた当初から図面に使っていたこのスタンプです。
シンプルそのもの。
余計なことする必要ないってことですよね。


初期にデザインした家具、ライティングビューロー。
上部がすぼまっていて圧迫感がないのがいい。
収納力よりこうするセンス。


これは建物のエントランスの扉の取っ手。
説明はなかったけど、雨に濡れた取っ手を触らずに済むということ?


アイノが設計したという家族の夏の別荘。
なんてことないような小さな家なんだけど、とても居心地が良さそうで地に足のついた夫婦だったんだと想像できます。



これはコンパクトな住宅のプロトタイプのようなものです。
室礼を変えて和室を設けて日本にも転用できるアイデアが面白いですが、日本の学生が作った模型だったかな。



L−レッグでないスツール。



そして、様々に応用されたL−レッグ。





使う人の身になってデザインされた病室。
「埃を溜めない曲面巾木」ってすぐコストのことを考えてしまう。


折りたたんで片付けられる幼稚園のお昼寝ベッドが可愛い。






万博のフィンランドパビリオンの再現。
この曲面がアアルトデザインの真骨頂ですね。


2人が仲間たちとつくった家具の会社アルテックは、その名もアート+テクノロジーで、現在も続いています。
芸術性だけでも技術だけでもない、2つの領域を融合させることを目指した2人の思いが込められています。

アイノは50代で先に旅立ってしまうのですが、臨終のアイノをスケッチしたアルヴァ。
同志のような彼女を失おうというとき、どんな想いで描いたんでしょうね。


1人で行ったので展示をひとつひとつじっくり観られたのはよかったけれど、前半集中し過ぎて後半息切れ、それでも3時間もかかって観終わるとランチタイムを逃してしまったのでした。

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